同性パートナーシップ制度はご存知でしょうか?
みなさん大体は耳にされたことがきっとありますよね。各自治体に対しセクシュアルマイノリティカップルが届け出をすることで、パートナーとして証明書を受け取ることができ、各種サービスが利用できるようになるというものです。
2022年7月1日時点で、233自治体が導入していて、人口カバー率としては50%を超えています。同年11月には東京都全体でも導入が開始されることとなり、全国的にも導入推進の大きな流れになっていると思います。
ただし、この制度については人口カバー率においては50%を超えてはいますが、それは人口が多い都市部での導入が多いためであり、まだまだ地方には浸透していない制度です。
私が住む島根県でも、いまだ導入自治体はゼロ。これから先もしばらくは導入されることはないと半ば諦めていました。しかし、2022年7月1日に隣県である鳥取県境港市でパートナーシップ制度が導入され、その気持ちにも変化が現れました。
人口数で最下位1位、2位を争う県で、導入された…!
その事実は私を含め、島根県内に住むセクシュアルマイノリティの当事者に勇気と希望を与えたと思います。
そしてそれとともに、わが県での導入を目指して「やることをやらねば」という気持ちにもなり、この度境港市役所とアポをとり、お話しを聞いてくることができました。
というわけで、すみません、前置きが長くなったのですが、今回は「同性パートナーシップ制度導入から学んだこと」についてお話ししていこうと思います!
さっそく、まいりましょう!
同性パートナーシップ制度の意義
同性パートナーシップ制度って聞きはするけど、結局どんな制度かよく分からない…
という方もおられると思いますので、制度の意義についてお話ししていきますね!
制度自体の意義
まずは、制度そのものの意義ですね。パートナーとして認められることによって享受できる利益があります。病院で家族と同等の扱いを受けられるようになったり、公営住宅へ家族として入居が可能となったり、民間企業での携帯の家族割りや生命保険の受取人などに適用されるようになったりします。(各自治体によって、差異はあります)
特にパートナーの入院や、手術の際に「ご家族じゃないと」と言って他人扱いされるなどの悲しい事例も全国的には多く発生している状況とも聞きますので、家族同等の扱いを受けられる可能性があるというのは非常に大きな意義のように思います。
セクシュアルマイノリティが当たり前に存在している証明
次に制度があることにより、同性カップルの存在、ひいてはセクシュアルマイノリティの存在が当たり前だと自治体が示してくれているという心理的安全性の確保があると思います。
やはり当事者の何が辛いかというと、「自分たちがいないことにされている孤独感」だと思います。異性カップル、結婚、出産などが当たり前の環境で感じる孤独は絶望に近いものがあります。
この制度を利用するしない、パートナーがいるいないに関わらず、この孤独感がいやされ、自分たちの存在が認められているという安心感は何にも代えがたい価値だと思います。
境港市役所の玄関脇には、同性パートナーシップ制度導入に関する特設コーナーがもうけられていて、来庁者には必ず目に入るようになっていました。こうした地域の方々に当たり前に存在が知られていくことが大きな意義だなと思いました。
地域住民に対するセクシュアルマイノリティに対する理解の向上
これは先ほどの項目にも近いものがありますが、「こんな制度がありますよ!」と周知することによって理解が進むスピードが増していくというところです。
これについては、担当者の方も「制度ができたことにより、理解が広まっていっている実感がある」とおっしゃってもいました。ジェンダーレス制服が導入を検討する公立中学校も増えてきて、街全体で理解が深まっている流れができているようでした。
すべての人が生きやすい地域の創造
この制度が導入されることの利点は、なにもセクシュアルマイノリティ当事者のみに限らないと思います。この制度を発端として「多様性」が認識されていくことが重要な意義だと思います。
つまり、いろんな人がいる。それが当たり前だ。ということをみんなが認識していく地域ができていくということです。おそらく田舎であれば、男女の役割や働き方、生き方、いろんなしがらみが多く存在しています。いろんな生きづらさをそれぞれが抱えていると思います。
それは、古くからの「みんな一緒がいいよね」という謎の同調圧力によるものであり、日本の風習によるものでもあると思います。
だからこそ、こうして「いろんな人がいる」「いろんな生き方がある」ということを認める地域ができていき、街全体が活気あふれたものになっていくのだと思います。
この制度の意義は、なにもセクシュアルマイノリティ当事者に限らない。そう思います。
同性婚への足掛かり
やはりセクシュアルマイノリティ当事者が本当に望んでいるのは、同性パートナーシップ制度よりも同性婚だと思います。しかし、昨今の同性婚訴訟によるとなかなかそれも前途多難な状況…。
そんな中で同性パートナーシップ制度が導入される自治体が増え、制度利用をする人が増えていくことで、「これだけ存在していて、需要があることなんだ」と国に分かってもらうことが、同性婚へのステップになっていくのではないかと…。
このように、パートナーシップ制度についてはたくさの意義がつまっていると思います。
パートナーシップ制度の現状
同性パートナーシップ制度の導入状況については冒頭でもお伝えしたとおりです。
いまだ県内で導入がゼロというところも、島根県を含めて残っています。住む場所によって、パートナーシップ制度が利用できるかできないかが決まってくる。もしもパートナーシップを使うのであれば、移住を考えなければならないというのはどう考えてもおかしなことではないかなと思います。
こうした不平等を少しでもなくしていけるように頑張っていかねばと思っているところです。
導入における課題
導入における課題は、理解の醸成です。理解の醸成の有無により、制度の意義が大きく左右されるからです。
これがなされないと、ただ単に制度があるだけで(もちろん前述のとおり制度の存在そのものに意義はありますが)、形骸化してしまうということにもなりかねません。
事実、パートナーシップ制度が導入されている自治体でも、病院や救急隊に理解の醸成がなされていなかったため「家族と同等」という扱いを受けることができなかったという事例もあるようです。
ですから、制度ができたことに平行して、病院や商工会議所、学校、地域住民に広く周知していくことが重要になってくると思います。
導入自治体から学んだこと
とここまでは私の想いをつらつらと書いてきてしまいましたが…。せっかくなので境港市さんからお話しを聞いて感じたことを書いていこうと思います。
制度の導入に関しての苦労などをお聞きしたのですが、ここで感じたのはやはりいかに「本気」になることが大切かということでした。
「いつかやろう」ではなくて、「今やる!」とみんなが方向性を一緒にしてやっていくことが非常に重要なことだと…。何においてもこれが大事だよなと思いました。
本気で取り組むかで熱量も変わってくるし、ゴールが「やる」ということに決まっている以上迷う余地がないというか。結局本気にならないと、何かにつけて「やらない理由」を探してしまう。だから順調に物事はすすまないし、いつまでたっても何にもならない。
人生と同じだなと思いました。
「やる」と決めて、本気で進む。そうすれば、色んな人がキャッチしてくれて大きな全体の流れになっていく。きっと人生も同じことが言えるのかなと思います。
本気の人生を送っていきたいなと、まさか同性パートナーシップ制度の話を聞きながらこんな深いことを感じるとは思いませんでした。(笑)
みなさんの声があったからこそ
最後に、みなさんへのお礼でしめたいなと思います。
こうした状況にあるということや、同性パートナーシップ制度への想いを各種SNS、LINEで聞いたところ、いろんな意見をいただきました。
私の独りよがりではなくて、他の方たちも必要性を感じておられるのだろうかと思い、声を募ったものです。
この声があったからこそ、「よし、やっぱりやる意義はある!」と確信して進むことができました。
まだまだ始まったばかりではありますが、次は来週に松江市との話し合いが入っているので、ここで気持ちをぶつけていき、仲間になってもらいにいきたいなと思っています。
戦いではなく、あくまで手を取り合って一緒に進んでいく仲間になりたい。その想いを忘れずにやっていけたらと思います。
いつもみなさんの存在が支えになっています。これからもよろしくお願いします。
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