ありがたいことに、自分は人に恵まれる運だけはあると自負しています。いまの職場でも沢山いい人に恵まれました。
仕事を辞めると決めてから、その出会った大切な人たちにしなければならなかった退職報告。この記事では、自分が仕事を辞めると決めて真っ先に報告した4人との退職報告エピソードについて、「職場の人に退職を伝えたときの反応」というシリーズで書いていこうと思います。
お付き合いいただけると嬉しいです。
退職を伝えた大事な4人
自分の場合、退職予定が令和3年度末、つまり令和4年3月末で、辞めると決心したのが令和3年7月のことだったので、まだまだ期間がありました。
そのタイミングでいろんな人に「仕事やめます!」と宣言したら、「こいつどうせ辞めるからな。」と思われて周りのテンションが下がりそうなので、とりあえずは直属の上司と、今までお世話になった大事な人達に伝えることにしました。
直属の上司に伝えたからといって、いろんな人に話が回ることはないとは思うんですが、なんとなく自分が伝える前に変に話が伝わったりするには嫌だったので、大事な人達には自分の口で話しておきたかったのです。
今日はそのうちの1人である「ひよっこ時代の恩師」について書いていこうと思います。
1人目:ひよっこ時代の恩師
警察官は、最初の半年間は警察学校に入ります(高卒は10カ月)。
その期間中に、自分たちの指導を主に行う「担当教官」という担任のような人がつくのですが、自分の場合は女性だったので、女性教官がつきました。教官は、最初の1週間こそ「鉄の仮面」というのがしっくりくるくらい無表情で怖かったのですが、知れば知るほどとても人情味があって頼りがいのある人でした。
学校を卒業してからも何かあると相談し、アドバイスをもらったりしていました。時には仕事がキツ過ぎて辞めたいと相談したこともありましたが、その時には「私が上に掛け合ってあげる。何がどうキツイのか言ってごらん。なんとかする。」と心強い言葉をもらって再起したこともありました。
まさに自分にとって「メンター」と呼ぶにふさわしい人でした。
セクシャリティについての相談
担任にセクシャリティについて相談したのは学校時代でのことでした。学校時代からある思いが自分の中にあったからです。自分の仕事は女性のプライベートな話を深く聞く仕事であったので、
「恋愛対象が女性で、心も男性に近い自分が『女性警察官』として女性の話を聞いてもいいのかと自責の念にかられてしまいます。」
と相談しました。すると、
「あんたが男に心が近かろうと、相手にとっては女性。それよりも、あんたがちゃんと『その人のためになりたい。』って本気で思って接する方がよっぽど大事。そんな事気にしなくていい。あんたはそれが出来る人間だ。」
って言ってくれました。本当に救われる思いだったし、がんばろうって心から思えた一生忘れない言葉です。きっとこの言葉があったから、この11年間頑張ってこれたと言っても過言ではないなぁと思います。
そんないつも親身になってくださった教官だから、「辞める」って決めた時に真っ先に報告することにしました。
退職を伝えたときの反応
教官からの第一声は「もったいない。」というものでした。教官のその言葉を聞き、教官の顔を見ているとなんだか今までの10年以上が思い出されて、泣けてきました。
そして、鼻水をすすりながら今までの自分の思いや、最終的に辞める決断をする後押しになった「所属での最悪な飲み会」についても話をしました。(このことについては、下の記事をご覧ください。)
教官は、
「今はもうそんなことで差別している時代じゃない。そんなことを言ってくる方が罰される時代になる。あんたがそんなことでやめることはない。あと、10年経てば必ず良くなる。あんたにそんな事言った人に私が抗議してあげようか。」
と言ってくださった。
教官も昔、男社会の職場で女性職員が「マイノリティ」だった時代に、それはひどい扱いを受けてきたそうで、それを涙ぐみながら語ってくださった。そして、教官が採用されてから20年経って「こんな時代くると思わなかった」というくらい職場環境が改善されたと。それを聞いて、自分も教官と同じようにあと10年頑張れるか考えてみました。
・・・
・・・
・・・
・・・・・・いや、やっぱり無理だ。
・・・・・・・あと10年も頑張れない。
さらに涙がでてきました。
全然まとまらない頭で、言葉にならない言葉で、ゆっくりと自分の思いを話しました。「もう限界だ。この職場で自分は生きづらい」と。ゆっくり否定することなく、教官は話を聞いてくれました。そして、
「わかった。じゃあ、あんたがこれから幸せに暮らしていける道を一緒に探していこう。」
そう最後に言い、受け入れてくれました。
話して思ったこと
教官に対しては、本当に10年間の感謝の思いしかありません。育ててもらった恩、親身になっていつでも味方でいてくれた恩、退職報告のときも最後の最後まであたたかく受け入れてくれた恩。すべてに「感謝」しかないです。
学校でしこたま怒られたのも今になってはいい思い出だし、教官はぶっきらぼうだけど、いつも大きな愛をもって自分に接してくれたと思います。
「もったいない。」と引き留めてくれたこと。今後を心配してくれたこと。私の幸せを願って、最終的に受け入れ応援してくれたこと。
すべてありがたく、かけがえのないものだなと思います。
次の道に進んでも、この思いを忘れず、恥じない生き方をしていきたい。そして、いつの日か別の道で成長した自分の姿を見せて、恩返ししたい。そう思っている今日この頃です。
本当に人に恵まれているいい人生だなと思います。
これを読んでくれているあなたにも感謝!それでは、また!