この記事はnoteの方に以前書いてまして…あの時はこの嫌な出来事が起こってすぐだったので、悲しさや怒りが爆発してて、書きなぐったのを覚えています。
今回Wordpressに転記するにあたって、大分期間が空き、自分の中で起こった気持ちの変化もあるのでぜひnoteの方で読んだことがある方も、初めて読む方も最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
今回の記事は、飲み会のときに職場の上司に言われた「セクシャリティに関する無神経な発言」に関するエピソードを書いていきます。
金も時間も無駄な飲み会
職場の上司と6人での飲み会。コロナが流行っていたこともあり、宅飲みでの開催。宅飲みだと終わる時間も読めない…「あー嫌だなぁ。今日早く帰れるかなぁ。」と朝からどんよりした気持ちでいました。
もともとお酒を飲むのも、飲み会も好きなタイプなのですが、どうも全体の飲み会というのは好きになれなかったんですよね。
はじまって10分の「トンデモ発言」
飲み会が始まって、10分くらい。缶ビールの半分も飲み終わらないタイミング。隣に座っていた上司が、突然耳を疑いたくなるトンデモ発言をしてきました。
お前ってLGBTなの?
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
は?
いやいや。何言ってんだ、この人。みんなが聞こえるような声で、そんなこと聞く?なんの罰ゲームだよ。
完全に自分はその時鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたと思います。「ザ・ワールド!時よ止まれ!」って感じでした。
自分は戸惑って、「え?いや…どういうことですかね?」って聞き返しました。突然の予期せぬ攻撃に、きっと動揺は隠しきれてなかっただろうなと思います。
そうすると、さらに衝撃のトンデモ発言が返ってきました。
あれだ。お前ってボーイズラブなの?
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
「ちょっと何言ってるか分からない。」頭の中でサンドウィッチマンの富澤さんばりにツッコミを入れました。
何もわかってなさすぎる発言に、絶望と怒りが入り混じった気持ちになりました。こんな人が幹部…うちの職場マジでヤバイな…最悪だ…。
ものすごい嫌悪感を持ったのを覚えています。
自己否定の言葉
その発言だけでも、もう帰りたい案件だったんですが、そのあとの状況がさらに自分を追い込みました。上司の発言によって、周りを見るとみんな私に注目しているのです…。「うろたえるな。取り繕え。」そう思いました。
口から出たのは、
いやいや、そんなことあり得ないです。ボーイッシュだからよく言われますけど、私は『普通』ですよ。
という言葉。
とっさに出た言葉は、自分を否定する、自分と同じ人を否定する言葉でした。30年以上で培ってきた防衛反応だとは言え、自分の口から出た「普通」という言葉に自分でショックを受けました。
この10年間、職場で「彼氏は?」「結婚しないのか?」「もっと女らしくしろ」「結婚しないのは欠陥人間」「家庭を持って一人前」など色んな言葉を言われてきて、いつも取り繕ってきました。そう…いつものこと……のはずだったのです。
でも、「仕事やめたいな。」って思い始めていた時のこの出来事。なんだか自分の中のなにかが「すっと引いていった」のを感じました。急激に冷めていく感じ…。
そしてトドメの言葉を上司が言ったのです。
あーならよかった
と。
よかった?よかったってなに?私がセクシャルマイノリティなら、あなたに迷惑かけるんですか。
・・・あぁ
・・・そうか
・・・うん
「仕事やめよう。」
って心に決めました。
「酔っていた」で済まされないこと
上司は、そのあとも様々なセクハラ発言を繰り返していたので、飲み会に出席していた私の少し上の女性上司から「昨日セクハラ発言がひどかったです。」と言われたようでした。それを聞いた上司は、自分のところに
「昨日はセクハラ発言がひどかったみたいですね。酔っていて覚えていないんです。ごめんなさい。」
と謝りに来ました。他のセクハラ発言なんて正直どうでもよかった。そんなことじゃない。
あなたの「酔っていた」で軽く済まされることが、私にとっては自分の存在否定の一大事件になるんだぞ。人のセクシャリティにずかずかと踏み込んできて、挙句の果てに「覚えていない」なんてバカなことあるのか。
「火に油」とはこういうことを言うのだなと実感しました。
知っている言葉を何も考えずに使うな
昨今いろんなニュースや雑誌などで「LGBT」という言葉を目にするようになりました。そのおかげで自分たちのような存在の認知が広がっているのはもちろん喜ばしいことです。
しかし、この上司のように「LGBT」という単語を知っている人は多くなったのかもしれませんが、「言葉を知っている」ことと「理解する」ということは全く違うとこの時痛感しました。
当事者の自分ですらすべてを理解できないほどセクシャリティの奥は深いし用語も多いのは事実ですから、すべてを理解してほしいと言っているわけでは決してないです。
でも、「レズビアン」と「ボーイズラブ」の違いくらい分かって使ってほしいのです。そして、TPOをわきまえて使ってほしい。飲み会の席で、みんなの前で、セクシャリティについて踏み込むべきでは絶対ないです。
「フランク」と「無神経」とは違う。セクシャリティは関係性が出来ていない人に聞くべきことではない。そういう勘違いした距離の縮め方が、不意に誰かの心を踏みにじることになるということを理解してほしいのです。
最近の心の変化
ここまで書いてきたのが、noteに書いていた内容をリライトしたものです。この件があった直後は、怒りと悲しみの真っただ中だったので、その気持ちを書き連ねるのが精いっぱいでした。
でも最近になって少し心の変化があったので、ここからはそれについて書いていきます。
この件以来、自分はこの上司に嫌悪感を抱いており、心の壁を作って接してきました。きっとそのことを感づいているようで、上司は何度も「また飲みに行こう」と誘ってきたり、何かにつけて話しかけてきたりしていました。でも、なかなか許すことが出来ず、愛想笑いでかわしたりしていました。
でも最近になり、「この職場で出来る限りカミングアウトして、セクシャルマイノリティの存在をアピールしてから辞めよう」と決断してから少し考えが変わりました。
この人こそ、考え方の改革が必要なのに放置したまま辞めていいのかとふと思ったのです。
だから、自分はこの人にすべてをカミングアウトして、この飲み会の時の気持ちもすべてぶつけて辞めようと思うのです。きっとこの人は理解が足りなかっただけで、悪気はなかったと思うから。今後自分と同じように傷つく人が出ないように、そしてこの人が不意に加害者にならないように。それが自分にできる1番生産性のあることかなと思ったのです。
恨むよりも許すことの方が難しいと思いますし、恨み続けることは自分にとってもいい影響を与えないと思いますしね。
自分が職場の人にカミングアウトして辞めようと思った詳しい経緯などは、また別記事に書いていこうと思います。そして、この上司へのカミングアウト結果も記事にしようと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
それでは、また!
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